同じようだけど全く違う!?
「デフレ」と「インフレ」の違い

2020.01.22

社会の授業で「デフレ(デフレーション)」と「インフレ(インフレーション)」を勉強はしたけど、どちらがどちらだったか混同していませんか? 似ていますが、正反対の意味を持つ言葉です。意味だけでなく、デフレとインフレになると社会やあなたの生活にどのような影響が出てくるのでしょうか。まとめてみてみましょう。

インフレのときは物価が上がってお金の価値が下がる

あなたがたとえばジュースを買うときお金を支払っているでしょう。ジュースなどのモノや電車賃などのサービスの値段を「物価」といいますが、物価が上がってお金の価値が下がっている状態がつづくのが「インフレ」です。

例として、今まで100円で買えていたジュースが200円に値上がりしたとしましょう。“ジュースの価格が2倍になった”だけでなく、“お金の価値が1/2になった”ともいえます。

物価が下がってお金の価値が下がるのがデフレ

反対に「デフレ」とは、物価が下がってお金の価値が上がっているのがつづく状態を意味します。先ほどの例で考えると、今まで100円だったジュースが50円に値下がりするような事態です。

“ジュースの価格が1/2になった”・“お金の価値が2倍になった”と書くと良い状態なのではないかと思うかもしれません。しかし、2020年1月現在の日本はまさにデフレの真っ只中で、「デフレ脱却」を目指しているところなのです。

デフレが続くと不況になる

デフレが続くのはなぜ問題なのでしょうか。理由は下の流れのようになると考えられているからです。

●物価が下がり続ける(デフレになる)

●会社の儲けが少なくなる

●新しい機械を買ったり、新しい人を雇ったりしなくなる
●いま雇っている社員をクビにしたり給料を抑えようとしたりする

●仕事がなくお金がない人が増える(失業率が上がる)

●不況になる

インフレが続くと人は不安になる

デフレは上のようなに不況に陥る危険があるため脱却しなければならないのです。反対にインフレが続くとどのような状況になるかもまとめてみましょう。

●物価が上がり続ける(インフレになる)

●会社の儲けが増える

●設備や道具を新しく買ったり、新しい社員を雇ったりする
●社員への給料が増える

●みんな仕事につけてお金がない人が減る (失業率が下がる)

●好景気になる……

インフレはデフレと正反対の意味を持つと説明しましたが、インフレになれば上の説明のように景気がよくなると考えられてはいます。だからこそデフレ脱却を政治家などは謳うのです。

しかし、行きすぎたインフレは危険でもあります。1985〜1990年代初頭までの「バブル景気」を知っている人もいるでしょう。インフレが進むのは、物価が上がり続けるのを意味します。果てしなく物価が上がる世の中では、将来の人生設計が立てられないため人が不安になるところから景気が一気に崩れ落ちると考えられているのです。

インフレとデフレを交互に繰り返すのが安定した状態

インフレとデフレの説明をしてきましたが、良さそうに見えるインフレも行きすぎてしまうのは危険とお分かりいただけたのではないでしょうか。経済が成長していくためにはインフレを適度に保つのが良いといわれていますが、インフレとデフレを交互に繰り返す“波”がある状態が経済的には安定しているのです。

波をコントロールするために政府は公共事業を発注したり税金を増減させたりと「財政政策」をしかけます。2019年10月に消費税が8%から10%になったのも財政政策の一環です。ほかにも金利(公定歩合)を調整したり国債を売買したりと日本銀行がしかける「金融政策」でも経済をコントロールしようとしています。

デフレ脱却のために政府や日本銀行がどのようなしかけを打っているのか、いま時点でデフレとインフレのどちらの状態にあるのかなど、ぜひネットや新聞などを見てあなた自身も調べてみてください。