「予備校」にかかる平均的な費用は?
現役生と浪人生で価格は異なる?

2020.08.03

大学受験といえば予備校。浪人生はもちろん、受験勉強を本格化するために利用する現役生もいますが、費用が気になる人がほとんどではないでしょうか。予備校ごとでの細かい違いはありますが、費用にまつわる情報を今回はまとめていきます。

現役生と浪人生では予備校の費用が違う

予備校を利用するのは高校3年生と浪人生がメインでしょう。学校が終わった放課後に授業を1・2コマ程度受けるだけの現役生に対して、浪人生は高校の授業の代わりに朝から夕方まで授業を受けます。そのため受講する講義の数がそもそも浪人生の方が多く、費用はかさみます。

また高校3年生の後半は受験勉強が多くなりますが、前半ではまだまだ新しい内容も勉強します。対する浪人生は、すでにひと通りの範囲を学習済みのため、1年間を通して復習をするだけです。予備校ごとで違いはありますが、こういった事情からコース分けや価格設定に違いが出てくると考えられます。

入学金・授業料など予備校にかかる費用の項目

予備校に通うとなるとどのような費用が発生するのでしょうか。予備校ごとで名称やルールが異なりますが、代表的な費用を下にまとめてみました。

  • ・入学金
  • ・授業料
  • ・季節講習費
  • ・テキスト代
  • ・諸経費(事務手数料)
  • ・模擬試験受験料
  • ・交通費
  • ・寮費(浪人生で寮を利用する場合)

テキスト代は授業料や諸経費に含める予備校もあります。なかには、ほかの費用を安く見せておいてテキスト代で稼ごうとする場合もあるかもしれないので注意しましょう。

現役生の1年間にかかる予備校費用

項目を紹介しましたが、予備校費用の総額はどのぐらいを想定しておけばいいのでしょうか。予備校ごとで違いがあるのはもちろん、現役生では受講する講座の数、浪人生では選択するコースで費用が変わってきます。

上は、大手予備校5社の現役生(関東圏内/高校3年生)向けの費用をまとめた表です。授業時間や授業数に違いがあるため単純化は難しいですが、入学金が3万円程度、授業料が1講座10万円程度はかかると捉えてもよいのではないでしょうか。

浪人生の1年間にかかる予備校費用

次に浪人生の費用をまとめてみましょう。浪人生の場合は志望校・志望学部のカテゴリーに合わせてコースが分かれており、価格もコース別になっています。現役生と比べると価格が高くなっているのが分かるでしょうか。先述のとおり受講する講義の数が違うため単純比較はできませんが、入学金だけでも約2倍は違います。

このコースに加えて、個別指導・添削・模試・映像授業などのオプションを付ければ費用はさらに大きくなります。反対に、成績優秀者であったり、兄弟が同じ予備校の利用者であったりする場合の兄弟割引や、友人を勧誘してくれた人向けに紹介割引などを各社が設けています。

夏期講習・冬期講習・春期講習など「季節講習」の費用

通年の講座について金額などをまとめてきましたが、上に挙げた5つの予備校のいずれもが夏期講習や冬期講習などの「季節講習」は別料金を設定していました。春期講習・夏期講習・冬期講習・直前講習が季節講習にあたりますが、受講を絶対とはしていないからです。ただ、季節講座の受講を前提にして通年講座が運営されている場合が多く、通年講座のほとんどの受講生が関連した季節講座を受けていると言ってもいいでしょう。

そして季節講習は実施される時期が異なるため、目的が違います。下に簡単にまとめましたが、目的に合わせて講義の内容も変わってきます。

  • ■春期講習:受験勉強のスタート・基本(前学年まで)のおさらい
  • ■夏期講習:受験勉強の本格化・苦手分野のピンポイント学習
  • ■冬期/直前講習:追い込み・大学入学共通テスト(旧・センター試験)の実践テスト・志望校別の個別対策(二次)

気になる費用について、先述の5つが設けている夏期講習の費用をまとめてみました。たとえば①は4講座からのため、入学金¥4,400+授業料¥70,400(¥17,600×4講座)で¥74,800の費用が最低でも発生します。

また②では2020年7/25〜9/1までをA〜Hと8つの期間に分けて朝・昼・夕方の三部構成(一部、夜を含む四部構成)で夏期講習を行なっています。そのため、現実的ではないにせよ最多で30講座の受講ができます。表の条件で単純計算すると、最多で¥667,500(¥197,100[9講座]+¥ 22,400×21[追加分])です。合計金額の相場を20万円〜40万円とほかのサイトで紹介されていたりしますが、自分のレベルや状況に応じて、予算と相談しながら季節講習は選んでください。

指導形態や交通費も予備校を選ぶ時のポイントに

費用についてまとめてきましたが、予備校を選ぶときにはほかにもチェックしていただきたいポイントがあります。たとえば指導形態は、費用にも大きく関わるポイントです。予備校=集団指導のイメージが強いかもしれませんが、集団指導が合わない人もいるでしょう。

また自宅や学校からの距離が遠ければ、身体的な負担にくわえて、交通費が増えていきます。定期券の利用を考える場合、運営会社が学校法人であれば学割が使えて通学定期になりますが、株式会社であれば学割は使えず通勤定期になります。交通費負担を売りにしている予備校もあるぐらいですので、家計にとってはシビアな問題でしょう。

ほかにも浪人生向けの費用はパッケージでの金額を紹介しましたが、授業時間や授業数は予備校ごとで異なります。講師の質など数字で単純に測れない面もありますが、授業時間が長い・授業数が多い方が費用対効果(コストパフォーマンス)が高いとの捉え方もできるでしょう。

しかし、例として夏期講習を最多受講した場合の概算金額をご紹介しましたが、必要以上に講座を受講するのは予備校での失敗のひとつと言ってもいいかもしれません。たくさん受講してもキャパオーバーでものにできなければ無駄になってしまいます。受験する大学に見合った科目を、処理できる範囲内で選択できるように努めましょう。

予備校に通うメリット・デメリット

集団指導自体が合わない人は、個別指導塾・通信教材・オンライン授業などほかのツールを検討しているかもしれません。ただ、どのツールにもメリット・デメリットがあります。改めて予備校のメリット・デメリットをまとめてみました。他ツールのメリット・デメリットも検討した結果、予備校がベストとなる可能性もあるでしょう。予備校以外も自分で考えてみましょう。

予備校のメリット

  • ・環境が良い(教室・自習室・情報が多い)
  • ・質の高い授業
  • ・強制的に勉強の予定が組める
  • ・同じ目的をもった仲間やライバルがいる
  • ・一日の勉強のスケジュールやカリキュラムが決まる(特に浪人生)

予備校のデメリット

  • ・費用がかかる(市販の教材で宅浪すれば安価で済む)
  • ・拘束時間が長い
  • ・自分のペースでは勉強しづらい
  • ・勉強した気になってしまうことも

質的・量的に自分のキャパシティに見合った分だけを受講しよう

予備校の費用についてまとめてきましたが、費用を多く捻出して講座をたくさん受けた方がいいわけではありません。先述したとおり、質的にも量的にも自分のキャパシティを超える講座を受講してすべてが中途半端になってしまったら時間もお金も無駄になります。ストレスや身体的な疲労も募ってくるでしょう。だからこそ、計画的に講座を選んで無理のないようにするのが大事なのです。

勉強の本質は、自学自習にあるといっても過言ではありません。予備校の授業を聞いて分かったつもりのまま終わっていては、合格はおろか、テストの点すら上がっていかないでしょう。授業と並行しながら、自習する時間を確保するようにしてください。費用だけに惑わされず、正しい選択を心がけましょう。

 

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