小中一貫校ってなに?
メリットやデメリット、入学の方法は

2021.06.03

小中一貫校とは、小学校と中学校が一体化した学校のことです。どのような目的で作られ、どんなメリットがあるのでしょうか。また、小中一貫校のデメリットもあわせてお伝えします。小中一貫校に興味をお持ちの方は、最後までよく読んで学校選びの参考にしてください。

小中一貫校ってなに?

小中一貫校とは、どのような学校なのでしょうか。設置された背景や概要を紹介します。

小中一貫教育を行うために設置されている学校

小中一貫校は、小中一貫教育を行うために設置された学校です。小中一貫教育とは、従来の小・中学校段階に当たる9年間という大きなくくりで教育を行うもの。

実は、教育現場では、小学校から中学校に進んで環境の変化に上手くなじめず不登校になったり成績が下がったりする、「中1ギャップ」と呼ばれる状況に陥る子どもが多くいることが課題になっていました。

そこで、小中一貫校では、これまでの「小学校6年・中学校3年」という考え方にとらわれず、9年を「5・4」や「4・3・2」年のように新しい形で区切るなどして、子どもの心身ともに健全な育成に取り組んでいます。

小中一貫校の施設としては、同じ敷地内の同一校舎で学ぶ「施設一体型」、同じ敷地内の別校舎で学ぶ「施設併設型」、敷地は別ながらも連携して教育を行う「施設分離型」があります。

私立で行われていたが、近年は公立でも設置され始めている

小中一貫校は、もともとは私立の学校で始まりました。しかし、だんだんと需要が高まり、文部科学省のもとで学校教育法が改正されるなど、公立の学校でも整備が進められ始めています。

小中一貫教育の目的

社会情勢や子どもの成長が時代とともに変化していくに伴い、小学校と中学校の協力や連携の需要が高まってきました。そこで、平成28年には「改正学校教育法」が成立し、小学校と中学校という9年間の課程を一貫して行う「義務教育学校」の設置が認められました。

小中一貫教育では、義務教育の9年間を通じ、子どもたちの学力や能力向上のほか、個々の児童・生徒が将来的に社会を担う一員として自立できるよう、従来以上に子どもたちの社会性や自己意識などの育成・向上を目指して教育を行っています。

義務教育学校との違い

小中一貫校は、形としては「小学校」と「中学校」が分かれており、それぞれに校長や教員が配置されます。

一方、義務教育学校の場合、校長は1人で小学校課程と中学校課程すべてで1つの組織であること、教員は原則として小学校と中学校両方の免許を持っていることなどの特徴があります。

小中一貫校はどれくらいある?

平成29年度の文部科学省の調査によると、小中一貫校は設置予定も含めて253件ありました。一部を紹介します。
・小中一貫三戸学園(青森県三戸郡)
・渋谷本町学園(東京都渋谷区)
・やたなか小中一貫校(大阪府大阪市)
・大原小中学校(京都府京都市)
・能古島小中学校(福岡県福岡市)
・蒲江翔南学園(大分県佐伯市)

設置されていない都道府県もありますが、さまざまな地域で設置の検討が進められています。

小中一貫校のメリット・デメリット

ここからは、小中一貫校におけるメリットとデメリットを解説します。

小中一貫校のメリット

・長期的な教育が可能に
小中一貫校では、9年間という長期スパンで教育を行えることが最大の特徴かつメリットといえるでしょう。小学校の学習で定着できなかった内容を中学校で補うなど、小中一貫教育ならではの教育内容や指導体制で、独自のカリキュラムを組むことができます。

また、学校側は長年同じ子どもたちを見ることができるため、各子どもの個性を把握し、伸ばしていきやすいでしょう。

・中学校に上がる際のギャップが少なくなる
前にも少し触れていますが、一般的な小学校から中学校に進学する際に起こりやすい「中1ギャップ」というものがあります。学習の難易度が上がり、教科ごとに教員や教室が変わることもあり、また複数の小学校から生徒が集まる中学校ではメンバーも変化します。

このような大きな環境の変化に戸惑い、不登校やいじめに発展するケースもあるのです。

小中一貫校では、普段から小中学校の交流が行われたり、小学校から中学校への移行の際にも急激に変化するのではなく少しずつ環境に慣れさせていったりすることが可能なため、中1ギャップを感じにくいと考えられています。

・幅広い年齢層でのコミュニケーションが図れる
小中一貫校では、下は6歳から上は15歳までが同じ学校で学びます。特に、施設一体型や施設併設型の学校であれば、年の離れた児童・生徒同士が顔を合わせる機会も多いでしょう。

多くの場合、運動会や文化祭のような学校行事も小中学校合同で開催されるため、日ごろから幅広い年齢層での交流が行われます。

小中一貫校のデメリット

・合わなかった場合に環境を変えづらい
小中一貫校では、9年間同じ学校でほぼ同じメンバーで過ごすという点がデメリットにもなりえます。学校の教育方針になじめなかったり、友達と合わなかったりした場合に環境を変えにくいからです。

そのため、教員が子ども1人1人に目を配り、子どもに寄り添ってケアを行うことが求められます。

・学校の数が少ない
子どもを小中一貫校に入れたくても、近くに小中一貫校がない地域も多いことでしょう。

小中一貫校は、平成29年時点で253件であることを前述しました。当時はまだ検討中だったところもあり、その後も総数として増えてはいます。

しかし、学校をつくるには莫大な費用がかかり、工事にも時間がかかるため、簡単ではありません。他の自治体の導入具合を見ながら検討するという地域もあるようです。

小中一貫校のメリットとデメリットを理解したうえで子どもに合った教育環境を選ぼう

小中一貫校がつくられた背景や、小中一貫校のメリット・デメリットをお伝えしました。私たちの生活が多様化する中で、子どもの教育に関しても幅広い選択肢が登場しています。

子どもの性格や個性に合わせ、親ができる範囲でその子にとって最善の選択をすることが理想です。通える場所に小中一貫校があるのであれば、選択肢の1つとして、ぜひ小中一貫校も検討してみてください。